AIでホームページはどこまで作れるか(作れない部分の話)

「AIでホームページは作れますか」は、よく見かける質問です。答えは、短くなる工程と、短くならない工程がある、です。どこが速くなって、どこが速くならないのか。内製を考えている方が自分で判断できるように、工程ごとに分けて整理しました。

私は北海道東川町でWeb制作をしていて、IT/Webの仕事に関わって17年になります。制作にはAIコーディングを活用しています。その立場から書きますが、この記事ではツールの優劣や比較は扱いません。どのサービスを使うかより、工程のどこが変わるかのほうが、判断に効くと考えているためです。

この記事で確認すること
  1. 短くなるのは「形にするまで」の工程
  2. 短くならないのは「決める」と「確かめる」
  3. AIで作ったサイトで起きやすい抜け
  4. 内製する場合の、現実的な線引き
  5. 頼む場合に見るべき点

1. 短くなるのは「形にするまで」の工程

先に、実際に短くなる部分から書きます。ここを小さく見積もると、話が正確になりません。

まず、たたき台を作る速度です。文章の下書き、ページの並べ方の案、コードの雛形。ゼロから白紙に向かう時間は、確かに短くなりました。次に、調べ物。書き方を思い出したり、仕様を探したりする時間が減ります。そして、似た形のものを繰り返し作る作業。構造が同じ下層ページ、表、入力欄の多いフォームといったものは、手を動かす時間がはっきり減ります。

共通しているのは、どれも「何を作るかが決まったあと」の工程だということです。行き先が決まっている移動が速くなった、という言い方が近いと思います。行き先そのものを決める作業は、ここには入っていません。

「たたき台が出る」と「使える」は別

もう一点。AIが出したものは、出た時点では案です。そのまま使えるかどうかは、読んで確かめてはじめて分かります。この確認の時間は短くなりません。むしろ、出てくる量が増えるぶん、確認する対象は増えます。

私にも、確かめる工程を省いた経験があります。仕事の案件ではなく、ポケモンカードのイベント用に自分で作った、対戦の組み合わせを表示するブラウザアプリです。20人ほどで実施したときは、事前のバグ確認をせず(AIに確認を頼むこともせず)、現場で確かめながら動かしました。その後、100人規模で実施したとき、組み合わせが表示されない不具合が出ました。20人の現場で確かめたことは、100人で動く保証にはなりませんでした。確かめる工程は、規模が変わる前に組んでおくものでした。

2. 短くならないのは「決める」と「確かめる」

短くならない工程は、大きく3つです。

ひとつめは、何を作るかを決める工程です。誰に見てもらうサイトなのか、見た人に何をしてほしいのか、問い合わせの受け先は誰か、どの情報を載せて、どの情報は載せないのか。これらはサイトの外側、つまり事業側にしか答えがありません。AIに聞いても出てこないのではなく、聞かれる側が答えを持っていないと決まらない、という種類の作業です。

ふたつめは、確かめる工程です。書かれている事実が合っているか、フォームが本当に届くか、スマートフォンで崩れていないか、リンクが切れていないか。これは人が一つずつ見るしかありません。

みっつめは、責任です。公開した内容の責任は、作った道具ではなく、サイトの持ち主にあります。価格、営業時間、対応できる範囲、資格や許認可の書き方。ここを間違えると、直せば済む話では終わらないことがあります。

ですから、「AIを使うから全体が安くなる」とも、「AIでは作れない」とも、私は言えません。短くなるのは実装の一部で、決める工程と確かめる工程と責任は残ります。費用の話をするときは、この3つが誰の手元にあるのかを見たほうが、実態に近い比較になります。

3. AIで作ったサイトで起きやすい抜け

AIを使って短期間で形にしたサイトで、あとから困りやすい場所には、いくつか決まった型があります。技術的な難しさではなく、抜けやすい場所の話です。

事実が少しずつ違う。 営業時間、定休日、対応地域、サービスの名称。文章として自然に整っているぶん、違っていても読み飛ばしてしまいます。もっともらしい文ほど、目が止まりません。公開前に、事実の入っている箇所だけを抜き出して確認する時間を取ってください。

法定表記まわりが事業に合っていない。 プライバシーポリシー、問い合わせフォームで受け取る情報の取り扱い、通信販売をするなら特定商取引法に基づく表記。雛形は出てきますが、その雛形が自分の事業に合っているかは別の話です。ここは専門家に確認してください。

フォームが届いていない。 「送信しました」の画面が出ても、メールが届いていないことがあります。設置したら、必ず自分で送信して、受信側まで確認します。

置き場所と契約者があいまい。 ドメインとサーバーを誰の名義で契約したか、支払いはどのカードか、管理画面に誰がログインできるか。作ることに集中していると、ここが後回しになります。数年後に担当が変わったとき、いちばん困る部分です。契約まわりの整理については、エックスサーバーを事業サイトに使う前に確認したい、5つのことにまとめています。

作った人しか触れない。 更新のやり方が本人の頭の中にしかない状態です。これはAIで作ったかどうかに関係なく起きますが、短期間で一気に作れるぶん、手順を書き残す機会がないまま完成してしまいやすいと感じます。

4. 内製する場合の、現実的な線引き

そのうえで、自分たちで作るのが現実的な場合はあります。線を引くとすれば、次のあたりです。

自分たちで進めやすいのは、載せる情報が少なく、更新の頻度も低く、目的が「問い合わせを受けること」にほぼ絞られていて、そして表示が数日おかしくても業務が止まらないサイトです。この条件なら、作ってみて、直しながら育てるやり方が合います。

反対に、外に出したほうがよいのは、予約・決済・在庫のように、止まると業務そのものが止まる仕組みを持つ場合。個人情報や健康に関わる情報を受け取る場合。複数の人で更新していく場合。そして、公開日を動かせない場合です。

判断の軸は、難しさよりも「その工程を自分たちで確かめられるか」です。確かめられる範囲なら試していい。確かめられない範囲に入るなら、そこだけでも人に見てもらう。頼む範囲と自分でやる範囲は、工程ごとに分けて決められます。

5. 頼む場合に見るべき点

制作を誰かに頼むとき、見るべきなのは「AIを使っているかどうか」ではありません。決める工程と確かめる工程を、誰がどれだけ受け持つのかです。

見積書で確認したいのは、次の4点です。

  • 要件を決める打ち合わせが、工程として入っているか(入っていなければ、決める作業は発注側に残ります)
  • 公開前の確認が入っているか(表示・フォームの送受信・スマートフォン・法定表記)
  • 原稿と写真を、どちらが用意するか
  • 公開後、誰がどうやって更新するか

「AIで作るので安くできます」と言われたときは、どの工程が短くなるのかを聞いてみてください。実装が短くなるという答えなら、筋は通っています。要件定義や確認まで含めて短くなると言われたら、その分は誰かがあとで負担することになります。

AIで短くなった時間を、確かめる工程に回す。当面はそれを続けてみます。

店舗や個人事業のサイトで、AIに渡す前に決める情報

AIに文章や構成の案を作ってもらう場合も、営業時間、料金、対応地域、予約方法は事業者側で確かめます。空欄をAIに埋めてもらうと、提供していないサービスや、受けられない予約条件が混ざることがあります。

  • 掲載してよい事実と、まだ決めていない条件を分ける
  • 店内や商品は実物の写真を使い、イメージ画像と混同しない
  • 電話や予約リンクをスマートフォンで操作して確かめる

一通り生成したあとに人が確認する作業も、制作の範囲です。内製するか依頼するかを比べるときは、制作費と見積書の確認点とWordPress保守の分担も確認してください。

ホームページを自分たちで作るか、頼むかを迷っている方は、載せたい情報と、止まると困る業務を教えてください。どこまで内製できそうかの線引きから、一緒に整理します。ホームページ制作のお問い合わせ

確認日:2026年9月21日