WordPressサイトの保守を自分たちでやるか、外に出すか

WordPressの保守を自分たちでやるか、外に頼むか。迷う原因の多くは、保守という言葉に性質の違う作業が混ざっていることにあります。更新、バックアップ、不具合対応、復旧。どれを自分で持ち、どれを外に出すのか。仕分けるための基準を整理しました。

私は北海道東川町でWeb制作をしていて、IT/Webの仕事に関わって17年になります。WordPressの構築だけでなく、公開後の保守も担当してきました。仕様は公式の案内をもとに説明します。

この記事で確認すること
  1. 「保守」には性質の違う作業が混ざっている
  2. 自分たちで持てる作業
  3. 外に出したほうがよい作業
  4. 分かれ目は「戻せるかどうか」
  5. 更新を自動にするか、手動で残すか
  6. 頼むときに決めておくこと

1. 「保守」には性質の違う作業が混ざっている

「保守をお願いしたい」と言うとき、最初に確認したいのは中身です。同じ言葉で、まったく違う作業を指していることが多いためです。

大きく4種類あります。日常の更新(記事や写真の差し替え、お知らせの追加)。環境の維持(WordPress本体・テーマ・プラグインの更新、PHPのバージョン対応、SSLの継続)。不具合への対応(表示の崩れ、フォームが届かない、管理画面に入れないといった症状の切り分けと修正)。そして万一のときの復旧(バックアップから戻す)。

この4つは、必要な知識も、失敗したときの影響も違います。1番目は手順を覚えれば誰でもできますが、4番目は、普段やっていない人が本番でいきなりやると状況を悪化させることがあります。「保守は自分でできますか」にそのまま答えられないのは、このためです。

逆に言えば、4つに仕分ければ、全部を頼むか全部を自分でやるかの二択にする必要はなくなります。

2. 自分たちで持てる作業

社内で持ちやすいのは、手順が決まっていて、失敗しても影響の範囲が限られる作業です。記事や画像の投稿・差し替えは、その代表です。バックアップが取れているかの確認も社内で持てます。取得自体は自動でも、「動いているつもりで止まっていた」は珍しくありません。月に一度、最新の取得日時を見るだけでも違います。

管理画面のサイトヘルスを定期的に見るのも社内向きです。公式の説明では、サイトの構成を診断して「致命的な問題」「おすすめの改善」「問題のない項目」に分類して表示するとされています。全部を理解する必要はありません。「致命的な問題」をまず一度ゼロにしてもらい、その後は増えていないかだけ見る。増えていたら画面をそのまま制作者へ送る。それで十分です。

フォームの送信テストも同じです。送信完了の画面が出てもメールが届いていないことがあります。月に一度、自分たちで送って受信を確かめてください。

3. 外に出したほうがよい作業

外に出したほうがよいのは、「原因の切り分けに知識がいる作業」と「失敗すると元に戻せない作業」です。

更新したら画面が崩れた、というときの対応がこれです。原因がテーマかプラグインかPHPかを切り分ける作業は、手順書にはできません。管理画面に入れなくなれば、ファイルやデータベースを直接さわることになります。

PHPのバージョン引き上げも、社内で軽く判断しないほうがよい作業です。WordPress公式が推奨する環境は「PHP バージョン 8.3 以上」。PHP本体の公式サイトではアクティブサポート2年+セキュリティサポート2年の期限が定められ、PHP 8.2は2026年12月31日、8.3は2027年12月31日でセキュリティサポートが終わります。期限は必ず来るので、上げない選択は取れません。ただし上げた瞬間に古いプラグインが動かなくなることがあり、先に検証環境で試してから本番の順番は外せません。サーバー移転とセットになることも多く、確認項目はWordPressのサーバー移転で、事前に確認しておくことで整理しています。

不正アクセスや改ざんの疑い、バックアップからの復旧も外に出す側です。改ざんは、症状を消しても入口が残れば同じことが起きます。

4. 分かれ目は「戻せるかどうか」

仕分けの基準をひとつ挙げるなら、技術の難しさではなく「失敗したときに戻せるか」です。

WordPress公式の案内でも繰り返し出てくる考え方です。更新の手順には「始める前にサイトをバックアップすることをおすすめします」とあり、自動更新についても「プラグインやテーマの自動更新を有効化する前に、何か問題が起きた場合に以前のバージョンに戻せることを確認してください」と書かれています。

「戻せる」とは、次の3つが揃った状態です。

  • 直前のバックアップがある(いつ取得し、どこにあるかが分かる)
  • 戻し方を知っている人がいる(手順書だけでなく、実際に戻した経験がある)
  • 戻している間サイトが止まっても、業務が止まらない

3つとも揃うなら、更新は自分たちでやって構いません。欠けるなら、外に出すか、外に出せる状態を先に作るほうが安全です。バックアップの保持期間は契約で変わるので、エックスサーバーを事業サイトに使う前に確認したい、5つのこともあわせてご覧ください。

5. 更新を自動にするか、手動で残すか

保守の体制を決めるとき、いちばん効くのが更新の設定です。

公式の説明では、自動バックグラウンド更新は「WordPress 3.7 で導入」され、「デフォルトでは (メンテナンスやセキュリティのための) マイナーリリースおよび翻訳ファイルのみがこの自動更新の対象になります」とされています。セキュリティ修正は放っておいても当たる一方、「プラグインとテーマの自動更新はデフォルトでは無効化されています」。5.5以降は、プラグイン一覧の「自動更新」列とテーマの詳細画面から、ひとつずつ有効にできます(既定で1日2回実行)。

全部を自動か、全部を手動かで決めないでください。分けるのが現実的です。自動にしてよいのは、壊れても影響が見た目に留まるもの。手動で残すのは、問い合わせフォーム・予約・決済・会員機能など、止まると業務が止まるものです。更新後に動作確認をしたいので、人が見ているときに当てます。

自動にするなら、壊れたことに気づく仕組みをセットにすること。自動更新は、サイトが壊れたことまでは教えてくれません。

6. 頼むときに決めておくこと

外に出すと決めたら、見積もりを比べる前に次の4点を言葉にします。

  • 範囲:記事の差し替えは含むのか、デザイン変更はどこから別料金か
  • 不具合の扱い:仕様どおり動かないことだけか、プラグインや外部サービスの仕様変更で起きた不都合も含むのか(ここの食い違いが最も多い)
  • 復旧:バックアップはどこに何日分あるか。戻す作業は月額に含まれるのか
  • 連絡:誰が異常に気づき、誰にどう伝えるか。返答までの目安

私は制作の見積もりを出すとき、制作のみの案と、制作+保守の案を並べて出す形にしています。「保守なしを自分たちで選んだ」という合意を残すためです。保守なしは問題のない判断ですが、その場合は4つのうちどれを社内の誰が持つのかを決めてください。決まっていない作業は、たいてい誰も見ていません。

公開したばかりの小さなサイトで、まず分けること

営業時間や料金の変更と、WordPressの更新は、別の作業として担当を決めます。店の情報を直せる人がいても、不具合から復旧できるとは限りません。反対に、制作側は臨時休業やメニューの変更を自動で知ることはできません。

  • 店の情報が変わったとき:誰が制作側へ連絡し、誰が画面を直すか
  • フォームが届かないとき:誰へ連絡し、確認までの間は電話などでどう受けるか
  • 更新後に表示が崩れたとき:誰が戻し、どこまで復旧を依頼できるか

新規制作の見積もりでも、この分担を一緒に確認できます。制作と保守の範囲は制作費と見積書の確認点、完成したサイトの例は制作実績をご覧ください。

どこまで社内で持ち、どこから外に出すかを整理したい方は、いまの運用状況と止められない業務を教えてください。仕分けからご相談に乗ります。ホームページ制作のお問い合わせ

確認日:2026年9月21日。仕様は変更される場合があります。作業前に公式サイトの最新情報をご確認ください。