ホームページの制作費は、何で決まるのか

「ホームページはいくらですか」と聞かれることがあります。ただ、金額だけ並べても比べられません。同じ金額でも中身が違い、同じページ数でも工程が違うからです。この記事では金額を出さずに、制作費が何で決まり、見積書のどこを見れば比較できるのかを整理します。

私は北海道東川町でWeb制作をしていて、IT/Webの仕事に関わって17年、これまでに50件を超える案件に携わってきました。個人事業主や小規模の事業者の方から、制作費の見当がつかないという相談をよく受けます。相場表を載せる方法もありますが、金額を先に見てしまうと「安いほう」を選ぶ判断になりやすく、そこで削られているものが見えません。順番を逆にして、決まり方から説明します。

この記事で整理すること
  1. 金額の差は、ページ数ではなく工程数で出る
  2. 見積書で必ず見る項目
  3. 見積に含まれていないことが多いもの
  4. 安い見積が「安く見える」理由
  5. 予算が合わないときは、金額ではなく範囲を動かす
  6. 保守込みと保守なし、2案で比べる

1. 金額の差は、ページ数ではなく工程数で出る

制作費は、突き詰めると「どれだけの作業時間がかかるか」で決まります。ページ数は、その作業時間を左右する要素の一つでしかありません。

同じ5ページでも、中身が違う

原稿と写真が揃っていて、掲載する内容も決まっている5ページと、何を書くかから一緒に考える5ページでは、かかる時間がまったく違います。問い合わせフォームが1つあるのか、予約や決済までつながるのか。スマートフォン用に別の見せ方を用意するのか。更新を自分たちでやるためにWordPressなどの管理画面を用意するのか。これらは全部ページ数に表れません。

表に出にくい工程がある

見積を作るとき、落としやすいのは実装以外の工程です。ヒアリングと要件の整理、構成を決める作業、公開前の検品、修正対応、期間中の打ち合わせと進捗連絡、公開後の引き継ぎ説明。これらは成果物として目に見えませんが、確実に時間がかかります。

見積の範囲が狭いときは、安くするために手を抜いたのではなく、最初からその工程を引き受けていない、という場合がほとんどです。良し悪しではなく、範囲の違いです。だから金額の差を見る前に、範囲の差を見ます。

2. 見積書で必ず見る項目

2社以上から見積を取ったとき、合計金額だけを見比べても判断できません。次の項目を並べて見ると、差がどこから来ているかが分かります。

  • 工程の内訳があるか:「Webサイト制作一式」だけの見積は、何が含まれるのかを後から確認する手間が残ります。工程ごとに分かれていれば、削る相談もできます。
  • 修正の扱い:修正を何回まで見ているか。そして「修正」と「仕様変更」を分けて書いてあるか。合意した内容に近づける作業が修正、合意していない内容を足すのが仕様変更です。ここが曖昧なまま進むと、あとで揉めます。
  • 原稿と写真を誰が用意するか:ここが一番大きい変数です。先方支給と制作側で用意するのとでは、金額も期間も変わります。
  • 検収と支払いのタイミング:いつをもって完了とし、いつ支払うのか。期間の長い案件では、分割になっているかどうかも見ておきます。

3. 見積に含まれていないことが多いもの

制作費の見積に入っていないことが多く、あとから「これは別ですか」となりやすいものを挙げます。依頼する前に、自分たちで用意するのか、頼むのかを決めておきたい部分です。

原稿の執筆とキャッチコピーの作成。写真撮影と、有料素材を買う費用。ロゴやイラストの制作。サーバーとドメインの費用、そして契約手続き。有料のテーマ・プラグイン・フォントのライセンス費用。表示内容が法令に沿っているかの確認。公開後の更新代行。検索順位の保証。多言語対応。他社が作った既存部分の不具合修正。

このうちサーバーとドメインは、制作費とは別に毎年かかり続ける費用です。契約者を誰にするか、支払いを誰が持つかも含めて、最初に決めておいたほうが後々楽になります。この点はエックスサーバーを事業サイトに使う前に確認したい、5つのことでも触れました。

4. 安い見積が「安く見える」理由

安い見積が悪いわけではありません。安くなる理由には、はっきりした型があります。

範囲が狭い(打ち合わせ回数が少ない、構成は先方が決める)。デザインをテンプレートから選ぶ形にしている。原稿と写真が先方支給の前提になっている。公開後のサポートを含めていない。このどれかに当てはまるなら、その条件を自分たちで満たせる限り、安い見積は合理的な選択です。

困るのは、理由が書かれていない安さです。工程の内訳がなく、範囲も書かれていない見積は、進めてから「それは別料金です」と分かる形になりがちです。結果として、最初から範囲を書いてあった見積より高くつくことがあります。見積を比べるときは、金額の差ではなく、条件の差がどこにあるかを聞いてください。範囲が書いてある見積なら、そこは答えられるはずです。

5. 予算が合わないときは、金額ではなく範囲を動かす

提示された金額が予算に届かないとき、「もう少し安くなりませんか」と聞くのは自然な反応です。ただ、その頼み方だと相手は工程を削るしかありません。削られるのは、たいてい検品や打ち合わせなど、目に見えない部分です。

聞き方を変えると、話が動きます。「この予算に収まる範囲で組み直せますか」。同じ予算でも、次のような調整が可能です。

  • ページ数を減らして、まず必要なページだけで公開する
  • デザインをテンプレートベースにする
  • 原稿と写真を自分たちで用意する
  • 今回は基本的な部分だけ作り、拡張は次の期に回す

値引きより範囲の組み直しのほうが、何を諦めたのかが双方に残ると考えています。値引きは一度やると次の案件にも引きずり、結局どこかで品質か納期に返ってくるからです。

6. 保守込みと保守なし、2案で比べる

もう一つ、見積を受け取る段階で聞いておきたいのが公開後の話です。ホームページは公開した日から古くなり、その更新を誰がやるかは制作費とは別の問題です。見積は「制作だけ」と「制作+保守(月額)」の2案で出してもらうと、公開後にかかる手間の量が見えます。保守の中身と、自分たちでどこまでできるかの判断材料は、WordPressサイトの保守は自分たちでやるか、外に出すかにまとめました。

制作費は、相場を調べて決めるものではなく、自分たちが何を用意でき、何を頼むかで決まります。見積を取る前に「原稿は誰が書くか」「公開後は誰が更新するか」の2つだけ決めておくと、話が早く進みます。次の見積から、この2つを最初の打ち合わせで確認します。

小規模店舗・個人事業主が、見積もり前にメモすること

金額を調べる前に、ホームページで受けたい連絡を一つ決めてみてください。来店前の電話、予約、見積もりの依頼では、必要な情報も確認する動作も変わります。

  • 誰に見てもらうか:近隣の新規客、紹介された方、取引を検討する事業者など
  • 連絡を受ける方法:電話、既存の予約サービス、問い合わせフォームなど
  • 手元にある材料:ロゴ、店舗や商品の写真、料金表、SNSのアカウント
  • 希望する公開時期と、その日までに用意できる材料

文章が完成していなくても、箇条書きで大丈夫です。写真撮影や原稿づくりも依頼したい場合は、その作業を見積もりに含めてもらいます。公開後に必要な費用は、ドメインの契約名義と更新の管理とWordPress保守の分担もあわせて確認してください。

ホームページの制作を検討している方は、いま手元にある材料(原稿・写真・使いたいページ)と、公開後に更新する担当を教えてください。ご予算に収まる範囲の組み方から一緒に整理します。ホームページ制作のお問い合わせ

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