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会計ソフトを機能の表で比べても、なかなか決まりません。主要なソフトは、確定申告も口座の連携もひととおり揃っているからです。個人でWeb制作をしている立場から、売上の波、サブスクの経費、入金の突き合わせ、確定申告という実務の側から選び方を整理しました。
私は北海道東川町でWeb制作をしていて、IT/Webの仕事に関わって17年になります。会計と請求書はfreeeを使っています。この記事ではfreee会計、マネーフォワード クラウド確定申告、やよいの青色申告 オンラインの3つに触れますが、仕様は各社の公式ページで確認できた範囲に限り、どれが優れているかの判定はしません。合うかどうかは、取引の形で変わるからです。
この記事で整理すること
1. 機能の表で比べても決まらない理由
会計ソフトの比較は、たいてい機能の表から始まります。ただ、個人事業主向けの主要なソフトは、基本の部分がほぼ揃っています。
公式ページで確認すると、この記事で扱う3つはいずれも、確定申告の書類を作ってe-Tax(国税庁の電子申告)で提出でき、銀行口座やクレジットカードの明細を自動で取り込む機能があり、スマートフォンのアプリも用意されています。無料で試せる期間も3つともあります(期間や条件は各社で違います)。
表の上で「○」が並ぶなら、差が出るのは表に載らない部分です。自分の毎月の取引を、そのソフトでどれだけ少ない手数で記帳できるか。そこを見るには、先に自分の取引の形を言葉にしておく必要があります。順番を逆にして、機能より先に取引の形から考えます。
2. Web制作の取引は、こういう形をしている
個人でWeb制作をしていると、取引にはおおむね次のような特徴があります。物販や会社員の副業とは、手間のかかる場所が違います。
- 売上が月ごとにばらつく:案件ごとの請求なので、入金のない月もあれば、重なる月もあります。着手時と納品後に分けて受け取る取引もあり、1件の売上が2回に分かれて記帳されることもあります。
- 経費はサブスクが多い:サーバー、ドメイン、デザインツール、AIツール。毎月か毎年、同じ相手に似た金額を払い続けます。海外のサービスはカード払いで外貨建てのこともあります。
- 請求と入金の突き合わせが要る:振込名義が会社名の略称だったり、振込手数料が差し引かれていたりして、請求額と入金額が一致しないことがあります。
- 確定申告は年に一度:1年ぶりの作業なので、去年の手順を覚えていません。
手間の大半を占めるのは、2つめと3つめです。サブスクは件数が多く、入金の突き合わせは件数が少なくても1件ずつ確認が要ります。会計ソフトに求めることは、ここから逆算すると絞れます。
3. 選ぶときに見る4つ
上の取引の形に当てはめると、見るところは次の4つです。
- 自分の口座とカードが、明細の自動取得に対応しているか:対応件数は各社が公表していますが、数え方が違うので数字で比べても意味がありません。事業で使っている銀行とカードが一覧にあるかだけを見ます。サブスクの経費は、カードの明細が入ってくれば大半が片づきます。
- 請求書から売上の記帳までつながるか:請求書を別の道具で作ると、売上を会計ソフトに入れ直すことになります。同じソフトの中で作れるか、連携する請求書サービスがあるかを見ます。
- 入金と請求を結びつけられるか:入金の明細が入ってきたとき、どの請求書の入金かを結びつけて未入金の一覧から消せるか。名義違いや手数料の差額の扱いは、試用期間中に1件やってみると分かります。
- 消費税の申告まで同じソフトで済むか:インボイス発行事業者の登録を受けると、基準期間の課税売上高が1,000万円以下でも消費税の申告が必要になると、国税庁が案内しています。プランによって消費税申告の機能の有無が違うソフトもあるので、登録する予定があるなら、その分まで見ておきます。
4. 3つのソフトを、公式の情報で並べる
各社の公式ページで確認できた範囲を並べます。料金は改定されることがあるので、ここでは書きません。
- freee会計:個人事業主向けにスターター・スタンダード・プレミアムなどのプランがあり、どのプランにも「確定申告書の作成と提出」「銀行・クレカの明細取得」「見積書・請求書の作成」が含まれます。消費税申告はスタンダード以上のプランの機能です。
- マネーフォワード クラウド確定申告:パーソナルミニ・パーソナルの2プラン。青色申告と白色申告に対応し、銀行やカードの明細の自動取得と仕訳に対応しています。請求書は「マネーフォワード クラウド請求書」との連携で反映できると案内されています。
- やよいの青色申告 オンライン:セルフ・ベーシック・トータルの3プラン。入出金明細の自動取得とe-Taxに対応しています。請求書は同社の「Misoca」と連携すると、自動で取り込んで仕訳できます。白色申告には別の製品「やよいの白色申告 オンライン」があります。
3つとも、同じ会社の仕組みで請求書を作り、会計に流す道筋が用意されています。違いが出るのは、その道筋がいまの自分の請求書の作り方とつながるかどうかです。いま請求書を何で作っているか、作り方を変えてもよいかで決まります。
5. 会計と請求書を、同じ場所に置く
私は会計と請求書をfreeeにまとめています。選んだ決め手は、請求書と会計が同じ画面で扱えることでした。
会計と請求書を同じ場所に置くと、請求書の売上を会計ソフトに入れ直す手間と、そこで起きる転記の間違いが減ります。Web制作では、制作の請求のあとに保守の請求が毎月続くこともあり、1件の取引から出る書類が増えがちです。書類が増えるほど、作る場所と記帳する場所が分かれていることの手間が積み上がります。
見積をどう組み立てるかは、ホームページの制作費は、何で決まるのかで整理しました。会計ソフトの選び方とは別の話に見えますが、見積の出し方が決まると、請求の回数とタイミングが決まり、会計ソフトに求めることも決まります。
ただし、すでに別の請求書サービスに取引先や過去の書類が溜まっているなら、無理に寄せる必要はありません。連携で記帳まで流れるなら、それで足ります。
6. 選ぶ前に、事業の口座とカードを決めておく
どのソフトを選んでも、明細の自動取得が効くのは、事業の支払いが事業用の口座とカードにまとまっているときです。私用と混ざっていると、取り込んだ明細を1件ずつ仕分けることになり、自動化の意味が薄れます。
サーバーやドメインのように毎年更新される契約は、契約者と支払い方法を事業側に揃えておくと、記帳も更新の管理も楽になります。名義と支払いの決め方は、事業用ドメインの取り方と、契約者を誰にするかで書きました。
試用期間のうちに、次の3つをやってみてください。表を眺めるより早く、合うかどうかが分かります。
- 事業で使う銀行口座とカードを1つずつ連携し、先月分の明細を取り込む
- 先月出した請求書を1件作り直し、入金の明細と結びつけてみる
- サブスクの経費を3件選び、勘定科目を決めて登録する
試すときは、実際の仕事に近い一件を通してみる
Web制作の仕事なら、一件の見積もりから請求、入金の確認までを試してみます。制作のみと保守付きの見積もりを取り違えずに扱えるか、毎月の保守と単発の追加作業を分けて確認できるかを見るためです。比較表で差が小さくても、自分の取引を通すと手間の違いが見えます。
ホームページの制作や保守を、範囲と費用の内訳が見える形で相談したい方は、いまの状況を教えてください。制作のみの案と、制作+保守の案の2つで見積をお出しします。ホームページ制作のお問い合わせ
確認日:2026年10月2日。仕様は変更される場合があります。申し込み前に各社公式サイトの最新情報をご確認ください。
