フリーランスの見積書・請求書ツールは、何を見て選ぶか

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見積書は表計算ソフト、請求書は別のテンプレート、入金は通帳で確認。Web制作の取引では、1件の案件から書類が何通も出ます。道具がばらばらだと何が起きるのか、ひとつにまとめるときに何を見るのかを、インボイス制度の要件とあわせて整理しました。

私は北海道東川町でWeb制作をしていて、IT/Webの仕事に関わって17年、これまでに50件を超える案件に携わってきました。インボイス制度の要件は国税庁の案内、道具の仕様は各社の公式ページで確認できた範囲で書きます。金額の話はしません。

この記事で整理すること
  1. 1件の案件から、書類は何通も出る
  2. 道具がばらばらだと起きる4つのこと
  3. インボイス制度で、請求書に書くこと
  4. ひとつにまとめると、何が変わるか
  5. 道具を選ぶときに見る4つ
  6. 請求書は、会計ソフトの中で作っている

1. 1件の案件から、書類は何通も出る

Web制作の取引は、見積、発注、納品、請求、入金の順に進みます。書類で言えば、見積書、発注書や注文請書、納品書、請求書、そして入金の記録です。

これが1通ずつで終わらないのが、Web制作の書類の特徴です。私は制作の見積を、制作のみの案と、制作+保守の案の2つで出しています。発注の時点でどちらかに決まるので、見積の段階から書類は2通あります。打ち合わせで範囲が変われば、見積は版を重ねます。公開後に追加の作業が出れば、別の見積が立ちます。保守を含む形で決まれば、制作の請求とは別に、毎月か定期の請求が続きます。

書類が増えると、「どの見積を元に、どの請求書を作ったか」という対応関係を、誰かが覚えておく必要が出てきます。見積と請求を別々の道具で作っていると、その対応関係はファイル名と人の記憶にしか残りません。次の章のミスは、ほとんどがここから生まれます。

2. 道具がばらばらだと起きる4つのこと

見積書と請求書を別々の道具で作り、入金は通帳で確かめる。この形で起きやすいことを4つ挙げます。

  • 番号の重複:書類の番号を手で振るので、前回の番号を確かめ忘れると、同じ番号の請求書が2通できます。番号は取引先の経理で照合に使われることがあり、問い合わせのもとになります。
  • 金額の転記ミス:見積の明細を請求書へ写し直すときに、数量や単価を打ち間違えます。2案で見積を出した場合は、採用されなかったほうの案を写してしまうこともあり得ます。
  • 入金消込の漏れ:消込(けしこみ)は、入金のあった請求書を「入金済み」にする作業です。振込名義が略称だったり、振込手数料が差し引かれていたり、複数の請求をまとめて払われたりすると、どの請求書の入金か分からず、未入金のまま残ります。
  • 登録番号の書き忘れ:インボイス発行事業者の登録をしている場合、請求書に登録番号が要ります。登録前に作ったテンプレートを使い回すと、ここが抜けます。

どれも1件ずつは小さなミスです。ただ、請求書の間違いは取引先の経理担当者の手を止めます。制作の出来とは別のところで、信用を削ります。

3. インボイス制度で、請求書に書くこと

インボイス制度は、令和5年10月1日に始まりました。国税庁の案内では、適格請求書(インボイス)に書く事項は次の6つです。

  • 売手(自分)の氏名または名称と、登録番号
  • 取引年月日
  • 取引内容(軽減税率の対象品目であれば、その旨)
  • 税率(10%・8%)ごとに区分した対価の合計額と、適用税率
  • 税率ごとの消費税額等
  • 書類の交付を受ける相手方の氏名または名称

登録番号は、税務署から通知される番号です。個人事業者の場合は「T」に13桁の数字が続く形です。登録をしている場合、取引先(課税事業者)から求められたときはインボイスを交付する必要があり、交付した写しも保存しておく必要があります。

Web制作の請求は軽減税率の対象にならないことがほとんどですが、それでも適用税率と消費税額の記載は要ります。テンプレートを自分で作る場合は、6つの項目が揃っているかを自分で保証することになります。

4. ひとつにまとめると、何が変わるか

見積と請求を同じ道具に置く利点は、つまるところ同じ情報を二度入力しないことです。

見積書をそのまま請求書に変換できれば、明細を写す作業そのものがなくなります。2案で見積を出していても、採用された案を元に請求書を作るだけなので、取り違えの余地が小さくなります。書類の番号も、同じ道具の中で振られていれば、重複に気づきやすくなります。

入金の管理は、請求書の道具だけでは完結しません。入金の事実は銀行の明細にあるからです。請求書の道具が会計ソフトと連携していれば、入金の明細と請求書を結びつけて「入金済み」にできます。連携していなければ、通帳と請求書の一覧を人が見比べることになります。

もうひとつ、インボイスの項目を書式が持っていれば、登録番号や税率ごとの合計を毎回自分で確かめる必要がなくなります。まとめる目的は、作業を速くすることより、間違いが入り込む場所を減らすことだと考えています。

5. 道具を選ぶときに見る4つ

候補を比べるときは、次の4点を確かめます。

  • 見積から請求への変換:見積書を元に請求書を作れるか。納品書など、ほかの書類との変換も同じ画面でできるか。
  • 適格請求書の項目:入力した金額から、税率ごとの合計と消費税額が計算され、登録番号を含む6項目が書式に入るか。
  • 送付方法:PDFをメールで送るのか。紙の請求書が必要な取引先があるなら、郵送に対応しているか。
  • 入金管理:入金の確認を手で行うのか、会計ソフトと連携して自動で結びつけられるのか。

会計ソフトの主要な各社は、請求書の道具も用意しています。freeeには、会計ソフトの中の見積書・請求書の作成機能と、請求書専用の「freee請求書」があります。マネーフォワードは「マネーフォワード クラウド請求書」、弥生は「Misoca」を、それぞれ会計ソフトとの連携先として案内しています。会計ソフトをすでに決めているなら、同じ会社の請求書の道具から見るのが近道です。連携が公式に案内されているからです。会計ソフトの選び方は個人事業のWeb制作者が、会計ソフトに求めることで整理しました。

6. 請求書は、会計ソフトの中で作っている

私は請求書を、freee会計の中の請求書機能で作っています。会計ソフトの中で書類を作る形なので、請求書と帳簿を別々の道具に分けずに済みます。freee会計の個人向けの料金ページでは、全プランに見積書・請求書の作成が含まれると案内されています。

請求書専用の「freee請求書」という別のサービスもあります。公式の案内では、無料のプランでも見積書や請求書などの書類発行とインボイス制度への対応ができ、プランによらず書類の変換が使えるとされています。送付はメールのほか郵送代行にも対応していますが、送付まわりの機能はプランによって違うので、料金ページで確かめてください。入金管理については「freee請求書単体では入金管理を手動で行うことができます。freee会計と連携することで売掛金や入金管理を自動で行うことが可能です」と書かれています。会計もfreeeにするなら会計の中の機能で、請求書だけ先に整えたいなら専用サービスで、という分かれ方です。

道具を決める前に、自分の取引で書類が何通出るかを数えておくと、必要な機能が見えます。見積を2案で出す考え方はホームページの制作費は、何で決まるのかで、保守の範囲の決め方はWordPressサイトの保守を自分たちでやるか、外に出すかで書きました。

明日からできることを3つ挙げます。

  • 直近の請求書を1通開き、国税庁の6項目が揃っているか照らし合わせる(登録している場合)
  • 見積書と請求書の番号の振り方を、ひとつの決まりにそろえる
  • 未入金の請求書を一覧にし、入金明細と突き合わせる日を月に1回決める

追加作業は、請求書を作る前に合意を残す

新しいページの追加や、当初の範囲にない修正が出たら、何を、いつまでに、いくらで行うかを先に確認します。請求書に書けることと、取引先がその作業を依頼したことは別です。見積もりの版、合意した範囲、完了の確認を同じ案件として辿れるようにしておきます。

ホームページの制作を検討している方には、制作のみの案と、制作+保守の案の2つで見積をお出しします。範囲と公開後の分担を、見積の段階で一緒に整理しましょう。ホームページ制作のお問い合わせ

確認日:2026年10月2日。制度や仕様は変更される場合があります。請求書の要件は国税庁、サービスの内容は各社公式サイトの最新情報をご確認ください。