WordPressのサーバー移転で、事前に確認しておくこと

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サーバーを移すとき、いちばん困るのは「気づかないうちに何かが止まっていること」です。作業そのものより、事前に洗い出す項目のほうが多い。ドメイン、メール、止まる時間、移転後の確認、そして自分でやるか頼むか。順番に整理しました。

私は北海道東川町でWeb制作をしていて、IT/Webの仕事に関わって17年になります。サーバーの移設も、これまでの仕事で担当してきました。この記事では特定の案件の話ではなく、移転を検討している方が着手前に埋めておきたい項目を扱います。サービスの仕様については、エックスサーバーの公式案内をもとに説明します。

この記事で確認すること
  1. いま何が動いているかを、先に書き出す
  2. メールを一緒に動かすかどうかを、最初に決める
  3. 止まる時間は「作業時間」では測れない
  4. 移す手段を決める(簡単移行が使えるか)
  5. 移した後に見る場所
  6. 自分でやるか、頼むか

1. いま何が動いているかを、先に書き出す

移転の失敗は、移す作業をしくじって起きるより、「移す対象に入っていなかったもの」が止まって起きます。ですからまず、そのドメインでいま何が動いているかを一覧にします。

書き出す項目は次のとおりです。ドメインをどこで取得し、どこの管理画面から設定を変えられるか。サイト本体(WordPress本体・テーマ・プラグイン・アップロードした画像)と、記事や設定を保存しているデータベース。同じドメインで使っているメールアドレスと、その利用者。SSL、つまりhttpsで通信するための証明書。そして、フォームの送信先、予約システム、アクセス解析、決済など、サイトの外とつながっている部分です。

このうち一つでも「誰が管理しているか分からない」ものがあれば、移転の前にそこから調べます。とくにドメインの管理画面にログインできないと、切り替え自体ができません。契約者と支払いの把握については、エックスサーバーを事業サイトに使う前に確認したい、5つのことでも触れています。

2. メールを一緒に動かすかどうかを、最初に決める

同じドメインでメールも使っている場合、「サイトだけ移す」という判断は、そのままではできません。ネームサーバー(そのドメインの設定をどこのサーバーで管理するかを決める設定)を新しいサーバーに向けると、メールの宛先を決める設定も新しいサーバー側のものに切り替わるためです。メールは今のまま動かしたい場合は、新しいサーバー側でメールの宛先設定(MXレコード)を今の宛先に向け直す作業が別途必要になります。

ここで先に知っておきたい仕様が一つあります。エックスサーバーの公式手順では、他社サーバーからの移転について「過去の受信メールなどのデータはエックスサーバーへ引き継ぐことができません」と案内されています。つまり、メールアカウントは作り直しになり、過去のメールは各自の手元に残す前提です。使っている人が複数いるなら、この点は事前に伝えておく必要があります。

同じ公式手順では、パソコンやスマートフォンのメールソフト側について、既存の設定を上書きせずアカウントを追加する形で設定すると「サーバー切り替え中のメールの取りこぼしを防ぐことが可能です」とされています。切り替えの前に新旧両方を受信できる状態にしておく、という考え方です。

メールだけ別のサービスを使っている場合は、移転時にその宛先設定(MXレコード)を引き継ぐ必要があります。ここを引き継ぎ忘れると、サイトは正常に見えているのにメールだけ届かない、という状態になります。

3. 止まる時間は「作業時間」では測れない

「何時間止まりますか」と聞かれることの多い部分ですが、移転の停止時間は作業時間とは別物です。

エックスサーバーの公式案内では、ネームサーバーは変更後「数時間~最大24時間程度で徐々に反映」するとされています。そしてこの間は「Webサイトやメールが移転元サーバーとエックスサーバーのどちらに繋がるか予測できない期間が発生します」と明記されており、確認は「丸1日程度様子を見たうえで」行うよう案内されています。サーバーパネルでのドメイン設定の反映についても、数時間~最大24時間程度かかる場合があるとされています。

ですから、計画は「◯時から◯時までメンテナンス」ではなく、「丸1日は新旧どちらに繋がるか分からない」という前提で立てます。実務上は、この期間に新しい記事を投稿しない、注文や予約の受付を止めるか手動で控える、フォームの受信を両方のメールで見られるようにしておく、といった段取りになります。公式手順でも、利用者の少ない時間帯に変更するよう勧められています。

もう一つ。旧サーバーの解約は、動作確認が終わってからです。エックスサーバーの公式手順でも、移転した内容が正常に動作していることを確認できた時点を移転完了とし、「移転元サーバーがご不要になる場合は、解約をしていただいて問題ありません」と案内されています。裏を返せば、確認が終わるまでは解約しない、ということです。加えて、旧サーバー側でドメインの設定を消すと、そのフォルダのデータごと消える作りのサービスもあります。切り替えが落ち着くまでは、戻れる場所を残しておいてください。

4. 移す手段を決める(簡単移行が使えるか)

移転先を選ぶ段階で見るのは、機能の多さより次の3点です。いま動いているWordPressをそのまま持ち込める仕組みがあるか。いまのサイトの容量とPHPのバージョンが、その環境で動くか。メールを作り直す手間を、どこまで許容できるか。この3点について、エックスサーバーの仕様は次のようになっています。

エックスサーバーには「WordPress簡単移行」という機能があります。ただし、すべてのサイトが対象になるわけではありません。

公式マニュアルでは、移行元のWordPressがマルチサイト機能を使っている場合、データベースの容量が2GBを超えている場合、WordPress.comからの移行である場合など、いくつかの条件でエラーになるとされています。対応バージョンはWordPress 4.2~7.1、PHP 7.2以上です。またBasic認証やロボット認証(サイトに閲覧制限をかける仕組み)が有効な場合は、解除しておく必要があります。

使う場合の順番も決まっています。先に移行先で対象ドメインの設定を済ませておくこと、移行元のWordPress管理画面のユーザー名とパスワードが必要なこと、そして「移行するドメインのネームサーバーは、移行作業の完了後に変更してください」という注意です。切り替え前の確認については、hostsファイル(自分のパソコンだけで接続先を切り替える設定ファイル)を編集すれば、ネームサーバーを変える前に新サーバー側の表示を確認できると案内されています。記事の個別ページが404になる場合は、パーマリンク設定を保存し直します。

条件から外れるサイトは、ファイルとデータベースを手作業で移すことになります。工程が増えるぶん、依頼する場合の見積もりも変わります。自分のサイトが対象かどうかは、移転先を検討する段階で確認しておくのが確実です。

5. 移した後に見る場所

切り替えたら、トップページが表示された時点で終わりにしないでください。見るべきは、普段使われている経路です。

当日に確認したいのは、下層ページ・カテゴリ・個別記事の表示、問い合わせフォームを実際に送信して受信できるか、httpsで鍵マークが出るか、httpで開いたときにhttpsへ転送されるか、画像とリンクが切れていないか、そしてメールの送信と受信の両方です。フォームは「送信できた」画面が出ても、メールが届いていないことがあります。必ず受信側まで確認します。

1週間以内に見たいのは、検索エンジンからの流入とアクセス解析が止まっていないか、定期的に届く通知メール(フォームの控えや外部サービスからのお知らせ)が来ているか、そしてバックアップが取れる状態になっているかです。

エックスサーバーの自動バックアップは、公式案内ではWeb・メールデータとMySQLデータベースについて過去14日分を保持するとされています(一部の旧サーバーは過去7日分)。データの提供はサーバーパネルから無料で申し込めます。ただし公式にも「弊社にて行うバックアップは、データの確実な保全を保証するものではありません」と書かれており、自分でもバックアップを取ることが勧められています。移転直後は、まず「戻せる状態になっているか」を確かめておきたいところです。

6. 自分でやるか、頼むか

判断の分かれ目は、技術の難しさよりも「止まったときに戻せるか」だと考えています。

自分で進めやすいのは、同じドメインでメールを使っていない、外部サービスとの連携がない、簡単移行の条件に収まっている、そして数日サイトが不安定でも業務が止まらない場合です。旧サーバーを残しておけば、うまくいかなければ戻せます。

一方、頼んだほうがよいのは、メールを業務で使っている、予約や注文を受けている、簡単移行の対象外にあたる、サーバー側に独自の設定が入っている場合です。この4つのどれかに当てはまるなら、止まったときの損失が作業費を上回りやすくなります。

依頼するときは、次の3つを先に伝えると話が早く進みます。

  • 対象:ドメイン名、いま使っているサーバー、同じドメインのメールアカウント数
  • 止められる時間:切り替えてよい曜日と時間帯、受付を止められない業務があるか
  • 移転後の担当:誰が更新し、誰が不具合に気づき、誰に連絡するか

移転は、作業が終わった瞬間ではなく、いつもどおり使えるようになった時点で完了です。事前の洗い出しは、そこまでの距離を短くするための作業だと考えています。

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サーバーの移転を検討している方は、いま使っている環境と、止められない業務を教えてください。移すかどうかの判断から一緒に整理します。ホームページ制作のお問い合わせ

仕様の確認日:2026年9月11日。サービス内容は変更される場合があります。作業前に公式サイトの最新情報をご確認ください。